ODの子どもを持つ親同士、悩みを共感・共有したり、情報交換したりと気軽に集える会です。

M君のお母さんから(大学1、高1の夏に発症) 

■ M君のお母さんから
□M君について
・学 年  大学1年生(2024年8月現在)
・発症時期 高校1年の夏に発症

 
「つらい日々でも精神的に成長」
 
体重が激減、体調不良に
長男が起立性調節障害と診断されたのは、高校生活を順調に滑り出した矢先でした。
小中学校時代の登校渋りを経て、無事に高校生活がスタートし、安堵していた頃です。夏頃になると本人が「体がだるい」と言い始めました。
4月から8月までの短期間で20kgの体重減(無理なダイエット等ではありません)があり、それが原因なのではと思っていました。
ところが、2学期になっても体調不良は改善せず欠席が続くようになりました。どんなに早く就寝しても起きられず、死んだように寝ていました。
午後には何とか動けていたようですが、立ち上がろうとすると立ち眩みがひどく本人の思うようには動けない状態でした。
それでも当時の私は、「また小中時代の登校渋りが始まったのでは…」と思い、本人に辛く当たっていたと思います。
医療機関を受診し診断を受けたものの、午後以降の姿を見ては「送迎すれば登校できるのではないか」と思い、仕事の合間に自宅へ戻ったりしていました。(結局、登校できないのですが)
あっという間に欠課数・欠席日数が厳しい状況になりました。高校の3年間は毎年、同じ状況になり、学校面談に呼ばれ、何とかギリギリで進級していました。
唯一、救いだったのは、先生たちが「一緒に卒業したいと思っている。私たちにできることがあれば協力したい」という姿勢でいてくれたことです。
また、欠席中も友人が学校の様子を知らせてくれたり、時々顔を見に来てくれたこと、復帰した際もいつもと変わらず接してくれたこと、そういったことで学校とのつながりを保つことができていました。
 
腹をくくり、思いに寄り添いかかわりを工夫
2年生の秋頃には、私は「このまま学校へ行かせることに過剰に注力してもお互いにとって良い方へは向かないのではないか」と思うようになり、現状を受け入れようと腹をくくりました。
いつだったか、本人が「小中時代は学校に行きたくなかったけど、今は学校に行きたいのにいけない」とポロリと本音を吐いたからです。
朝も無理に起こすことをやめ、欠席の日は本人の体調に応じて、夕飯準備や風呂掃除など家事をしてもらっていました。
また、可能な限り夜にウォーキングするなど一緒に軽く運動もしていました。
歩きながら話をする中で、本人なりに将来の進路を考えていること、その実現に向け、登校できている時は、色々相談したり調べたりしていること等を話してくれ、体調面は厳しい状況に変わりないものの、少なくとも本人の気持ちは前を向いていることを確認することができました。
 
しんどさの中 描いた将来の夢
長男は、「学校へ行きたくない」と「学校へ行きたいのに行けない」という経験から、「学校へ行っていない」という一見同じように見える状況でも、色々な側面があるということに大きな関心を抱いたようです。
そのことが「心理学」の分野へ進む大きなきっかけとなりました。自分と同じような境遇の児童・生徒の力になりたいと言う強い思いを持ち今春、隣県の大学へ進学しました。
進路が決定して以降、あっという間に、ほぼ全ての準備を自分で進め、卒業式の晩に新生活の地へ旅立つことを決めていました。
 
大変な日々振り返り、旅立つ息子に送った言葉
卒業式の晩、私からは「お互いにとって、本当に大変な高校生活だったけど、この経験はあなたには必要だったのだと思う。明確な進路目標を持つこともできた。社会に出る前に今回の経験から、自分の心身面のキャパを知ることができたし、体調と相談しながら、どのように物事に向き合うか、という貴重な練習ができたんだと思えばいい。また、これまでたくさん友人や先生方に助けてもらってきたけど、それはあなたが周囲の人たちに真摯に向き合って信頼関係を築いた結果だと思うから、自分にしっかり自信を持って。そして頑張り過ぎないこと、困ったことがあったらとりあえずは誰かに話してみること。きっと今までみたいに助けてくれる人が必ず現れるから!」という言葉を送り、握手をして新幹線に乗り込む長男を見送りました。
車中から、「18年間有難うございました!お疲れ様でした!」と短いラインが送られてきました。
本当に色々と大変なことばかりの18年間でしたが、いよいよ本当に親元を離れていくのだなぁ…と実感しました。
現在、ほとんど連絡をしてきませんが、大学では、勉強・バイト・部活とそれなりに楽しんでいるようです。長い人生、少しくらいの遠回りは何てことないのかもしれません。
無駄な経験など何一つなく、子どもたちの未来は本当に明るく、必ず開かれるのだと信じて。