ODの子どもを持つ親同士、悩みを共感・共有したり、情報交換したりと気軽に集える会です。

Aさんのお母さんから(専門学校1年、中3で発症)

■Aさんのお母さんから
□Aさんについて
・学 年  専門学校1年生(2020年4月現在)
・発症時期 中学3年生
・主な症状 起床時になっても起きれず起立時に気持ちが悪くなる。立ちくらみ、頭痛、腹痛、倦怠感など


「子供の心と身体に寄り添う」
戸惑いの中、病院を行脚
 中学3年生の春。受験生という事もあり、頑張らないといけない一年だと思っていました。部活の吹奏楽部でもパートリーダとして張り切っていました。
 そんなある日、朝突然起きれなくなりました。今思えば、一年前から起きてきてもしばらくリビングで横になっている事が多かったと思います。
 「朝起きれない」「気持ちが悪い」という状態が何日か続いたので、学校で嫌な事があった?登校拒否?-と思うようになりました。
でも、本人に聞いても「学校に行きたいけど体がだるくて動けない」と言うばかり。「一体どういう事?」「何か悪い病気かもしれない」
「三半規管に原因があるのかも」…。私の頭は混乱しました。
 耳鼻科、脳神経科など受診しましたが異常はなく、「朝起きれない」「ふらつく」「気持ちが悪い」とネットで検索すると、
中学生の10人に一人が発症する「起立性調節障害(OD)」という病名にたどりつきました。
 自律神経のバランスが乱れ、血液が脳や体に行き渡らず、頭痛や倦怠感などの症状がある。朝起きれずに「さぼり」と捉えられたりする―。
 当てはまる項目が多い事から小児科を受診し症状や起立検査をしたところ「起立性調節障害(OD)」と診断されました。治るのに個人差があり
数ヶ月~数年かかると言われ目の前が真っ暗になりました。

ショックだったわが子の一言
 娘は一日中、部屋に閉じこもるようになりました。その時は分からなかったのですが、きっと「動けなかった」のだと思います。
 受験生なのに学校に行けずにどうするの?出席日数は、内申は、テストは―。気持ちは焦るばかりで、親子関係も悪化していきました。
とにかく少しでも学校に行かそう、行ってくれたら安心していた気がします。イライラして、自分の不安を娘にぶつけていました。
ある日、「一番私の気持ちをわかってないのはお母さんじゃん!」と言われショックでした。一番寄り添わないといけないのは親なのに、と。
 娘との関係が悪化する中、何か情報がほしい。病気について知りたいと模索していました。そんな時、大阪でOD専門医の講演会があると聞き夫婦で参加しました。
会場にはたくさんの方がいて、「この病気に悩んでいる人がこんなにいるのか」と驚きました。それと同時に、「こんなにたくさんいるのに、なんで知られていないの?」という疑問を持ちました。
 ODの症状、子供に対する親の対応の大切さ、体調に合った進路選択など、お話を聞くうちに考え方が変わっていきました。
 「本人が一番つらい」「いつかは治る」「受け入れて愛情をそそぐ」「心と身体は密接に関係している」理解しようと思っても出来ない事も。親も完璧ではありません。
でも、一喜一憂しながらですが、少しずつでも実行していこうと思いました。娘との関係性も少しずつ変わっていきました。

進路の最終判断は本人に一任
 進路を決める時期になり、本人は全日制高校を希望していましたが、中学3年の秋にはほとんど学校に行けずにいました。
「高校はあくまでも通過点。その先を見たらどうだろうか。体調に合った通信制高校という選択もあるよ」と話し合い、最終判断は娘にまかせました。
 娘は自分の体調に合った通信制高校を選択しました。高校側は起立性調節障害の事を知っていて「大丈夫ですよ」と言われてすごく救われた気持ちになりました。
 高校の間に体調も良くなってきて、自信がついたのか本人も通える事が嬉しそうでした。体調に合わせて通学出来る高校を選択して良かったと言っています。
 そして今、高校を卒業して自分の夢に向かって体調を調整しながら専門学校に通っています。

大切にしたいこと
子供の自己肯定感を大切にする。安心出来る場所があると子供は前を向く事が出来る。そんな気がします。
どんな病気も周りの理解や認知があれば、当事者や家族の方のつらい気持ちも軽減されるのではないかと思います。
周りに相談する人がいない―。そんな時は、私の場合、親の会などを利用して気持ちを語り合うことで元気が出ました。