ODの子どもを持つ親同士、悩みを共感・共有したり、情報交換したりと気軽に集える会です。

Y君のお母さんから(通信制高3、小5で発症)

■Y君のお母さんから
□Y君について 
・学 年  通信制高校3年生(2022年4月現在)
・発症時期 小学5年生


「『子供の体調に合うリズムで』温かく見守る」

本人にしか分からないしんどさとは
中学受験をし、楽しみに入った中高一貫校。
たくさんの友達ができ、部活にも入り過ごしていた時に、
1学期半ばからだんだん体調が悪くなりました。

症状が酷かった中学1年後半の頃には、
息子は、階段を登り4階にある自分の教室まで、ゆっくり時間をかけながらしか上がる事ができなくなっていきました。

ODは、血管や心臓の動きを調節している自律神経の働きが悪くなる事で血液循環に影響がでる病気です。
息子は、まさに、その状態でした。
2学期に入り、頭痛は毎日続き、腹痛もだんだんに酷くなり、
心拍数は苦しいと感じるほど早い脈をうつように…。
クラクラして苦しいのを我慢し、息も絶え絶えになりながら毎日教室に上がる日々を過ごしていたんです。
そんな日をどれだけ、一人で我慢してきたのだろう、あの時にもっとゆっくり休ませておけば、とか。
今になって悔やむ事もたくさんあります。

体に起きている状態は、本人も初めは気づいてなく、
「何で、みんなあんなに駆け上がれるんだろう」
「自分だけ、何でこんなに、体が動かんのんじゃろう?と思っていた」
「動かそうと思っても動かんし、クラクラしだすし、とにかく、しんどかった」
「朝起きようとしても、起きれん。動けんし、はよ起きれって言われても、できるなら、もう、とっくに起きとるわ。はよ起きんさいって言わんでくれって何回も思った」
と、通信制高校に転校を決め、学校を転校する頃にボソッと言ってました。

元気な子なら、階段も駆け上がる事ができます。
でも、ODになった息子にとっては、
みんなと同じようにしたくても体が動かず、
みんなと同じように授業を受けるということが体調によっては難しく、
体は限界でした。

周りが気づく大切さ
体にどういう影響がでているか、本人が今、どんな状態なのか。
気づける人が家族や学校の先生、周りの人達の中に何人いるか。
それだけでも回復に影響がでてくると感じました。

なぜなら、
周りに理解ある方がいればいるだけ、
体に無理をさせない対応をしてもらえる。
「今はちょっとゆっくりしときんさい」とか、「少し保健室に行っておいで」とか。
子供に安心感が伝わって、回復する力にもなるからです。

だって親は「今日は学校行った、良かった」で終わっても、
頑張ってる本人には、当然、学校生活が待ってるから。

頑張って教室に上がっても、
すぐ移動授業があったり、体育で校庭に行き、また教室まで戻らなくてはいけない。
体育を休む時も、保健室に行かなければいけなかったり、体育を見学しなければ、欠席扱いになり単位はもらえないなど、
葛藤を繰り返しながら、頑張ってるという日がたくさんあるんですよね。

それは、息子だけではなく、
人によって症状は違うけど、
いろんなODの症状を我慢しながら、向き合いながら過ごしている子供達がたくさんいるという現実は、日常にたくさんある。
学校に行くって元気な子にとっては、
当たり前の言葉だけど、
必死に通ってる子にとっては、そっと見守って欲しい時間も必要だと感じます。
だから、学校のある日でも、朝の状態や青白い顔を見て、行けそうじゃない日は、起きるまで寝かせる日を増やすことにしました。

「学校に行くだけで、精一杯。限界。
人に話しかけたくても、しんどすぎて話せない。
席に座る事だけ、とにかくこの教科だけでも頑張る」と気合で過ごしていた事を、息子は話してくれました。

症状があっても学校に行く日は、
今日何時間目だけ受けたら帰ると言うことがありました。
今思えば、教室を移動することのない教科だったり、教室に入りやすい先生の授業の時だったと思います。
それ以外は、体が動かず休んだり、
青白い顔の日でも、試験や行事には学校へ行くことも多々ありました。
もしかしたら、本当は動けない行けない状態でも、
単位を取る為や、出席日数を増やす為、親に心配かけないように頑張りすぎてた場合もあったと思います。
中学はほとんど行けなかったけど、体を休める時間は、息子には必要だと思う事ができました。

自律神経の働きが不安定な病気のODは、常に体調不良と戦い続ける毎日を過ごし、ダウン寸前まで頑張ってる真面目な子供達に多いと聞きます。
だから、ぎりぎりまで頑張ってしまう。

それは進級した高1になっても変わりませんでした。
コロナ対策でオンライン授業だったことと、2学期からも時間差登校になったおかげで、欠席もあまり増えずテストも頑張り、無事に高2に進級。
でも、ひと安心していたのも一瞬で、春休みから頭痛が悪化し、日に日に酷くなり、歩くこともできなくなりました。

自分で決めた「転校」と、いま
出席日数や単位を増やすため、高校1年の後半に無理をした事、やり切り、進級できた安心感で、一気に疲れがでてしまったのだと思います。
「今は、しっかり休んでまず体調を治す事が必要」としばらく休ませることにして2ヶ月半が経ち、私自身も病気を理解していくうちに、このままでは体が治らないと強く感じるようになりました。

小学生の時に見学し、「絶対、この学校に行きたい」と中学受験して入った中高一貫校。
友達もたくさん出来、学校は大好きだけど、
今の体の事を考えたら転校しか答えはありませんでした。
最終的には、息子自身が転校を納得し決断。
高2の7月から全日制高校に転校し、今、通信制高校に通っています。

一時は一日中ベッドの上で、寝たきり状態の時も長くありましたが、
通信制高校に変わり、自分の体調に合わせて登校できることで、
体調も落ち着いてきて、今ではストレッチやウォーキング、サイクリングと、いろいろできるようになりました。

学校にはODになってから、ずっと車送迎してましたが、今は、自分で自転車に乗り、20分かけ学校に通えるようになりました。
体調は、日によりまだ波がありますが、
薬を自分で調節しながら、
前に向かって病気を乗り越えようとしています。
その姿は、母として立派な息子だと誇らしく思います。

家を安心できる居場所に
起立性調節障害の子供さんの家族の皆さん

子供さんが学校に行けた日は、
しっかり褒めてください。

別室登校でも、遅刻をしても、
挨拶だけ学校へ行きすぐに帰ったとしても、
子供達は目に見えない所で本当に必死に頑張ってます。

そして今は、お休みが続いている方も、
安心できる居場所があれば、きっと回復に向かいます。
その休息時間が、パワーとなり、頑張る力に変わります。
家でも出来ることを、やれたらいっぱい褒めてあげてください。

高校の出席日数や単位不足、心配事は尽きないと思います。
しんどい時は可能な限り、お休みを。
もちろん進級に無理のない範囲で担任の先生と連絡しモレのないよう気をつけて。

そして親が世間体に振り回されないように、
子供さん達の体調に合うリズムで
温かく見守ることを大切に。

みんなで、子供達の明るい未来をお互い回復に向けて乗り越えていきましょう。